都市計画法とは
誰もが好きな建物を好きなように建ててしまうとバランスのとれない都市が完成してしまいます。そうならないように、しっかりした制度のもとで都市をつくれるよう定めた法律、それが都市計画法です。
都市計画法・第1条(目的)
この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
都市計画法(昭和43年法律第100号)とは、
- 都市計画の内容や手続き
- 都市計画の制限
- 都市計画事業やその他都市計画
などに関する必要事項を定めて、都市の健全な整備や均衡ある発展、公共の福祉の増進を目的としています。
市街化区域と市街化調整区域
どこでも好きな土地に家を建ててもいいかと言うとそうではありません。
大きく分けて市街化を促進する市街化区域と、市街化を抑制する市街化調整区域があります。
都市計画法・第7条(区域区分)
1 都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域の区分(以下「区域区分」という。)を定めることができる。
ただし、次に掲げる都市計画区域については、区域区分を定めることとする。
1号 次に掲げる土地の区域の全部又は一部を含む都市計画区域
イ)首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯
(中略)
2 市街化区域は、すでに市街化を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
旧法の都市計画法は明治時代の都市化の進展とともに1919年(大正8年)に法整備化し翌年施行されました。そして1968年(昭和43年)に高度成長期の市街化の進展に対応するため新法が整備され、市街化区域と市街化調整区域が定められました。これがいわゆる「線引き」と言うもので、法律上では「区域区分」と呼ばれます。
なお、市街化区域にも市街化調整区域にも該当しない区域は非線引き区域と呼ばれます。
市街化区域
「都市計画区域についての区域区分のうち、すでに市街化を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」
条文は難しいですが、つまりは積極的に街を整備していく区域のことで、住宅を中心に道路、公園、下水道など都市施設も積極的に整備されていきます。
市街化調整区域
「市街化を抑制すべき区域」
自然環境を守るために市街化を抑制している地域で、新たな住宅や施設などは原則認められません。
市町村が定めた条件を満たす場合のみ、
都市計画法・第29条(第34条の各号適用)、第43条などで申請ができます。
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開発許可に関する申請
開発行為の許可申請
都市計画法・第29条(開発行為の許可)
都市計画区域または準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
高度経済成長期の過程で、人口や産業が都市に集中し、その過程で無秩序に市街化が進み、道路や公園の施設が十分に整備されないままに発展した経緯があります。開発許可制度は線引き制度(市街化区域・市街化調整区域)の実行を確保するとともに、一定の土地に対するチェック体制を設けて、
- 市街化の環境の保全
- 災害の防止
- 利便性の向上や増進
を図るためつくられた都市計画法上の重要な制度です。
一定規模以上の面積にて開発行為を計画する場合、原則として都道府県知事の許可が必要となります。
開発行為の許可申請
市街化調整区域の開発許可制度
原則として市街化調整区域での開発行為はできません。
しかし全ての開発行為を不可としてしまうと、その地域に必要なスーパーやコンビニなども建設できず、日用品の買出しなどもできなくなってしまいます。これではその地域がとても生活し辛い環境になってしまいます。
都市計画法・第33条(開発許可の技術基準)
都道府県知事は、開発許可の申請があった場合について、当該申請に係る開発行為が、次に掲げる基準に適合しており、かつ、その申請の手続きが法律に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければならない。(以下略)
都市計画法・第34条(開発許可の立地基準)
前条の規定にかかわらず、市街化調整区域に係る開発行為については、当該申請に係る開発行為およびその申請の手続きが同条に定める要件に該当するほか、次の各号のいずれかに該当しなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。(以下略)
そこで法34条の各号にて立地基準を定め、これに該当する場合は法29条に基づく申請を例外的に認めているのです。基準が適合していると認められる場合のみ、市街化調整区域内での開発行為の許可が取得できます。
市街化調整区域の開発許可申請
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市街化調整区域の建築許可制度
市街化調整区域内の建物等の建築に係る制度です。
法第29条・第33条・第34条は「土地」に関する制度を定めていますが、こちらは「建物」に関する制度です。
都市計画法・第43条
(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)
何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた土地以外においては都道府県知事の許可を受けなければ、第29条1項2号、3号の建物以外の建築物を新築してはならない。(以下略)
- 法29条1項2号で農業林業漁業を目的とした施設や居住に係る建築物
- 法29条1項3号で駅や鉄道、図書館、公民館、変電所などの施設
上の2つの項目の建物以外を開発許可を取得した土地以外で建てるときは法43条の許可が必要となります。
つまり自己用住宅の建替えも市街化調整区域では許可が必要となるわけです。
建替えなどの建築許可のほか、分家住宅や線引き前宅地の建築、農家住宅の建築などがあります。
市街化調整区域の建築許可申請
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適合証明書の申請
都市計画法施行規則・第60条
(開発行為又は建築に関する証明書等の交付)
建築基準法第6号1項又は第6条の2第1項の規定による確認済証の交付を受けようとする者は、その計画が法第29条第1項若しくは第2項、第41条第2項、第42条、第43条第1項又は第53条第1項の規定に適合していることを証する書面の交付を都道府県知事に求めることができる。(括弧書き略)
いわゆる建築基準法上の建築確認を申請する場合に、添付書類として適合証明書を求められます。
本条は開発行為の許可を取得した計画について、その計画が都市計画法の定められた基準に適合しているという証明書の交付を都道府県知事に対して請求できる旨の制度を定めています。