農地の売買・賃借に関する申請
農地法第3条は「農地」を「農地」として利用する場合の申請です。
個人や法人のかたが、これから耕作目的で農地を売買や賃借する場合は、原則として農業委員会の許可が必要になります。許可を受けないでした行為は無効となり、農地は原状回復が求められ、もとの農地の状態に戻さなければいけません。
農地法・第3条(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃貸借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第5条第1項本文に規定する場合は、この限りでない。(以下略)
これから農地で耕作活動を始める場合、農地法第3条の許可もありますが、農地法第3条のほかに農業経営基盤促進法に基づく申請により、許可によらず始めることもできます。こちらも農業を始めるにあたり国が正式に認める制度ですので、どちらが自分たちの計画に適合しているかを確認して制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
農地法第3条に基づく許可
農地法第3条に基づき、農地を売買、贈与、賃借など農業委員会の許可を受けて耕作活動を行います。賃借の場合は契約期間の定めがあっても、貸主と借主の両者の合意がない場合は賃貸借契約は解約されません。農地法の法定更新という効果が及びます。
市町村ごとに違いますが、例えばさいたま市の場合申請から許可までの標準処理期間は30日です。また期日の定めがあり、その月の審査はその月の15日までに農業委員会へ提出されたものが対象となっています。
主な許可基準
- 申請農地を含め農地の全てを効率的に利用すること
- 法人が農地を所有する場合は農地所有適格法人の要件を満たすこと
- 農地の取得者が、必要な農作業に常時従事(原則年間150日以上)すること
- 一定の下限面積を経営すること(原則50アール以上、例:さいたま市は30アール)
- 申請農地の周辺の農地に支障がないこと
農地所有適格法人とは
法人、農地を所有するために要件があり、それを満たした法人が農地所有適格法人です。
なお法人が農地を借りるだけの場合、農地所有適格法人かの別は問われません。
●基本要件
- 農地の全てを効率的に利用
- 一定の面積を経営
- 周辺の農地利用に支障がない
基本的な要件に加えて、下記の法人要件を備える必要があります。法人が農地を所有する場合と、農地を借りたい場合とで要件が異なります。なお農地所有適格法人は農地を借りることも可能です。
●法人要件
農地所有適格法人 |
一般法人 |
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農業経営基盤促進法に基づく申請
個人や法人の方が、農地を売買または賃借する場合、農地法第3条の許可を受ける方法のほか、農業経営基盤促進法に基づく利用権設定等促進事業(農用地利用集積計画)を利用する方法があります。
当該計画は、農地の貸し手と借り手の賃借等、個々の権利移動を1つの計画にまとめたもので、市町村が作成します。
この市町村が定める農用地利用集積計画により設定された賃借権については、上記の農地法による法定更新を適用しないこととされています。期間満了に伴い自動的に貸主に農地を変換してもらえます。更新する場合は再度、市町村が計画を作成・公示し再設定とします。
農地法第3条と農業経営基盤促進法の違い
どちらも一長一短ありますが、申請者の今後の耕作計画や事業計画の期間に照らして判断するのが良いでしょう。契約期限の到来についての定めが大きく違います。
- 農地法・・期限が到来しても両者の合意がなければ自動で更新
- 促進法・・期間満了により契約終了、農地は返還
【このページのまとめ】
- 農地法第3条は売買や賃借により、「農地」を「農地」としてこれから活用する場合の申請
- 法人が農地を所有する場合は農地所有適格法人の要件を満たす
- その月の期日までに農業委員会へ許可の申請が必要
- 農地法第3条の許可以外に農用地利用集積計画を利用する方法がある
- 両者は期間満了の際の農地の扱いに違いがある
農地の売買・賃借に関する申請の説明は以上です。