道路占用許可の申請

建築物の工事のために足場を道路上に一定期間組んだり、道路に水道管やガス管などを埋設する場合に道路管理者の許可が必要となります。

 

道路法・第32条(道路の占用の許可)


道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を得なければならない。

  • 電柱、電線、変圧等、郵便差出箱、公衆電話所、広告等その他これらに類する工作物
  • 水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件
  • 鉄道、軌道、自動運行補助施設、その他これらに類する施設
  • 歩廊、雪よけ、その他これらに類する施設
  • 地下街、地下道、通路、浄化槽その他これらに類する施設
  • 露店、商品置場その他これらに類する施設
  • 前各号に掲げるもののほか、道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの

 前項の許可を受けようとする者は、次の各号に掲げる事項を記載した申請書を道路管理者に提出しなければならない。

  • 道路の占用の目的
  • 道路の占用の期間
  • 道路の占用の場所
  • 工作物、物件又は施設の構造
  • 工事実施の方法
  • 工事の時期
  • 道路の復旧方法

 第1項の規定による許可を受けた者(道路占用者)は、前項各号に掲げる事項を変更しようとする場合においては、その変更が道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のないと認められる軽易なもので政令で定めるものである場合を除く外、あらかじめ道路管理者の許可を受けなければならない。

 

例えば道路中心に市の雨水管が流れていて、そこへ個人の雨水管を繋いでも大丈夫な市であれば、その本管までの個人雨水管の部分が道路占用申請部分です。要は道路管理者以外の者がその道路内に物件を設置し、道路を継続的に使用する場合が道路占用です。

 

 

どのような場合に申請が必要?

  • 建築工事中の足場

    新築時はもちろんですが、リフォームでの外壁塗装などでも建物の外周に足場を組みます。足場を組み立てる範囲が敷地の中に収まるのであれば何ら問題はありませんが、立地条件によっては道路にはみ出してしまう場合もあります。このときに道路管理者の許可が必要となります。

  • 店舗などの看板・日よけ

    街に出ると医院や店舗などが、道路上に看板を設置しているのをよく見かけると思います。普段何気なく目にしている光景ですが、あの看板も道路占用許可を受けて設置したものです。

  • 上下水の取出し工事

    道路の既設管から敷地までの新設管です。工事完了後に市町村へ帰属する場合もありますので一概に道路占用許可が必要とは言えませんが、占用許可を申請する市町村もあります。

  • 排水設備の工事

    雨水管を接続する場合、又は合併浄化槽のやむを得ない地域での放流の際に必要です。
    その他、その道路に側溝が整備されていない場合、道路管理者の指導に基づいた雨水処理施設を設置することもあります。

  • ガス管の敷設

    その道路内に新たにガス管を敷設する場合に必要となります。

市町村も市町村に対して道路占用許可を申請している

例えばA市とB市が隣り合い、A市の道路にB市の水道管などを設置する場合があります。この場合は道路管理者であるA市に対して、B市が道路占用の許可申請を行っています。

 

生活基盤整備事業者への特例

法第36条は、私たちの生活を支える上下水道・電気・ガスの特例の規定です。

 

道路法・第36条
(水道、電気、ガス事業者のための道路の占用の特例)


  • 水道法(昭和32年・法律第177号)
  • 工業用水道事業法(昭和33年・法律第84号)
  • 下水道法(昭和33年・法律第79号)
  • 鉄道事業法(昭和61年・法律第92号)
  • 全国新幹線鉄道整備法(昭和45年・法律第71号)
  • ガス事業法(昭和29年・法律第51号)
  • 電気事業法(昭和39年・法律第170号)
  • 電気通信事業法(昭和59年・法律第86号)

の規定に基づき、水管、下水道管、鉄道、ガス管、電柱、電線若しくは公衆電話所を道路に設けようとする者は、第32条第1項又は第3項の規定による許可を受けようとする場合においては、これらの工事を実施しようとする日の1月前までに、あらかじめ当該工事の計画書を道路管理者に提出しておかなければならない。(一部抜粋)

 

 道路管理者は、前項の計画書に基づく工事(前項ただし書の規定による工事を含む。)のための道路の占用の許可の申請があつた場合において、当該申請に係る道路の占用が第三十三条第一項の規定に基づく政令で定める基準に適合するときは、第三十二条第一項又は第三項の規定による許可を与えなければならない。

 

「何が特例なの?」と思うかたもいるでしょう。ライフラインは生活を支える重要なものですから、それを行政庁の裁量で全て自由に判断することができるとすれば、申請を許可しないことにより国民の生活に大きな支障が出ないとも限りません。

 

そうならないよう、第2項ではこのインフラ事業においてしっかりした計画書に基づいた申請がなされた場合は、これを許可しなければならないと定めています。これに該当する占用物件を義務占用物件といいます。

 

道路占用には「期間」の定めがある


道路占用の申請書に期間を記入しますが、必ずしもその期間が適用されるわけではなく、占用物件ごとに最高限度を定めていて、その範囲内で期間を決定します。(道路法施行令第9条)

  • 道路法第36条に規定する事業者が設ける占用物件(企業占用物件)⇒10年以内
  • その他の物件(一般占用)⇒5年以内

道路占用には「料金」の定めがある


道路を占有する場合は、その占用物件ごとに占用料がかかります。
占有料は区域区分(第1級地〜第5級地)によって定められていて、その区分は固定資産税評価額とその市町村の人口により算出しています。

 

ここではさいたま市の主要な道路占有料を見てみます。

占用物件 単位 期間 占有料(令和3年度時点)
第2種電柱 1本あたり 1年 2,700円
共架電線その他上空に設ける線類 長さ1メートルあたり 1年 15円
地下埋設管(9区分) 長さ1メートルあたり 1年 65円〜1,900円
看板 表示面積1平方メートルにつき 1年 10,000円
工事用足場 占用面積1平方メートルにつき 1月 1,000円

引用元(さいたま市道路占用料徴収条例の一部改正について)


 

道路占用許可の申請方法

このように普段私たちの生活に欠かせない電気やガスの供給管を始め、看板や電柱など様々な道路上のものは、道路占用の許可を受けて利用設置されています。

 

埼玉県へ申請する場合(県道の場合)、次のような書類及び図面が必要です。ただし、設置する占用物件により提出物が異なります。協議の際に指示された資料を用意しましょう。

提出物 提出物の詳細 提出部数
道路占用許可申請書 道路法・第32条の申請書です

正本×1部
副本×2部

案内図 住宅地図など現地の位置関係が分かる地図です 3部
平面図 占用計画を平面図(現況測量図など)に記載したものです 3部
縦横断図 上下水・雨水配管の接続断面や、側溝を敷設する場合などの断面図です 3部
構造図 設置する占用物件の製品図面で、カタログの写しやCADデータなどです 3部
保安管理図 工事中の警備員の配置や、歩行者の安全性を明記した図面です 3部
写真 現地の写真です、遠景と近景で方向別に撮影します 3部
その他 協議の際に指示された資料 3部

 

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