作成書類のご紹介

行政書士が作成する書類とは
作成書類のご紹介
前項にて内容証明郵便の概要をご紹介しましたが、ここでは実際に相手方へ送付する文書をご紹介します。
行政書士が作成できる書類は次の通りです。

 

行政書士法・第1条の2(業務)


 行政書士は他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次項において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することができる。
 行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

 

行政書士はその業務として「権利義務」及び「事実証明」に関する書類を、他人の依頼を受けて作成し報酬を得ることができます。
ただし、2項の規定の通り他の法律により制限された業務を行うことはできません。前項でも説明しましたが、例えば弁護士の業務である訴訟問題を業務とすることはできません。行政書士は訴訟による解決ではなく、書類による解決を目的としてその職務の範囲内で書類を作成します。

 

それでは行政書士が作成できる「権利義務」及び「事実証明」に関する書類とはどのようなものがあるのでしょうか。

弊所が作成する書類の紹介
作成書類のご紹介
書類の種類が非常に多く、項目も多岐に渡るため、私たちの身近で代表的な問題に関する書類をご紹介します。なお、列挙された書類以外にも「このような書類が作成できますか?」などのご質問がございましたら、お問い合わせフォームからご質問ください。

 

 

 

債権の回収に関する書類

債権者が債務者へ債務の履行を促すために作成する書類です。代表的なものは「貸したお金を返してもらう」という書類ですが、弁済期の定めがある場合とない場合では内容も変化するなど、民法上の「債権」の定めに関する書類の作成が主となっています。

 

  • 貸金の返還請求(弁済期の定めの有無)
  • 相続人に対する貸金の返還請求
  • 連帯保証人に対する貸金の返還請求
  • 主債務者に対する連帯保証人からの請求
  • 保証人に対する保証意思の確認通知
  • 債権の放棄や譲渡の通知
  • 相殺の通知
  • 飲食代金の請求

貸したお金を返してもらうなど非常にシンプルな債権回収の書類なのですが、その性質上、すでに法律上の争いが生じることが不可避となっていることもあります。
行政書士が作成する書類は、その書類による解決を目指します。しかし、すでに解決の手段が訴訟を前提としている場合は、法律上やむを得ずご依頼をお断りすることがあります。予めご了承くださいませ。

消費者の保護に関する書類

私たちにとって買い物は身近な存在ですが、事業者と消費者との間で少なからずトラブルがあるのも現実です。そうなった場合の相手方への対応請求や、未成年が行った契約の取消し等、民法上の保護の観点から作成する書類です。

 

  • 契約の解除請求
  • 商品の交換、修理、損害賠償等の請求
  • 未成年者が行った契約の取消し通知
  • 成年被後見人が行った契約の取消し通知
  • 勧誘の際の不実告知を理由とする契約の取消し通知

2022年4月1日より「民法の一部を改正する法律」が施行されるにあたり、成年年齢が引き下げられ、18歳以上は親の同意を得ずに契約が可能となります。これまで未成年者による契約を解除できるとした制度の適用年齢が変更となり、18歳以上がした契約はこれまで可能であった「未成年取消権の行使」をすることができなくなります。

商品の売買に関する書類

商品の代金が支払われていない場合や、購入した商品が定められた期間を過ぎても届かない等、売買に関する書類を作成します。
なお、オンラインショップでの売買が主流の昨今ですが、通信販売にクーリング・オフの制度はなく、事業者の返品特約に応じた契約の解除という形となります。

 

  • 商品売買の支払い請求
  • 購入した商品の引渡し請求
  • 売買契約の取消し通知
  • 様々な商品のクーリング・オフの通知

    (訪問販売・電話勧誘販売・連鎖販売・英会話・ゴルフ会員権・現物まがい・保険契約・投資顧問・不動産等々)

特定商取引法におけるクーリング・オフ制度は、その行使に際して取引の内容と期間が定めれています。

  • 訪問販売:8日間
  • 電話勧誘販売:8日間
  • 連鎖販売取引:20日間
  • 特定継続的役務提供:8日間
  • 業務提供誘因取引:20日間
  • 訪問購入:8日間

 

クーリング・オフ期間は、申込書面または契約書面のいずれか早い方を受け取ったときを起算して計算しますので、早めの対応を行いたいところです。ただし、業者側の書面に不備があるときは、この限りではありません。

不動産の売買に関する書類

売買代金の支払いと購入した不動産の引渡しは同時履行の関係にありますが、契約時の取決めが不明瞭であったり、現場で何か調査不足があると予期せぬ問題に発展することがあります。また、手付金の返還対応は国から正確なガイドラインが存在するのですが、中には理由を付けて返還を拒む不動産事業者も未だ存在するのが実情です。

 

  • 売買代金の支払い請求
  • 購入した不動産の引渡し請求
  • 不動産売買契約の解除通知(手付金放棄、手付金倍返し)
  • 面積不足を理由とした不動産の代金の減額請求

不動産契約における手付金の性質が「解約手付」である場合、例えば家を買う人は支払った手付金を放棄すれば契約を解除できます。同様に、家を売る人は支払われた手付金の倍額を相手に支払うことで双方に無条件の解除権を与えています。

 

また、不動産契約後に当該契約を解除しなければならない状態になった場合で、相手の債務不履行が軽微なものでない場合、民法541条(改正後)の規定に基づき、期間を定めて催告をする必要があります。

賃貸借に関する書類

賃貸オーナーが管理会社に管理を一任している場合はともかく、個人で管理していると何か問題があった場合に書類が必要になることも少なくありません。また、賃借人側からオーナーに請求する書類の作成が必要な場合もあります。

 

  • 賃料の支払い請求
  • 賃貸借契約の解除通知
  • 賃料の増額請求
  • 借主に対する無断増改築の停止・原状回復請求
  • 賃貸人変更通知(オーナーの変更)
  • 貸主に対する建物の修繕請求
  • 貸主に対する建物の修繕費用の請求
  • 貸主に対する増改築の許可願い
  • 敷金の返還請求

賃貸オーナーにとって家賃の滞納など、賃借人の債務不履行は頭が痛くなるような事案ですが、対応に時間がかかればかかるほど問題が大きくなるので、早めの対策を打ちたいところではあります。まずは簡易的な電話連絡や書面による催告をします。しかし、見通しが立たないような状態が続きそうであれば、内容証明の送達にて意思表示を明確に伝え、相手の出方を見て、その後の具体的な検討を視野に入れる場合もあります。

人事労務に関する書類

人を雇って業務を進めていく上で、例えば社員が無断欠勤をした場合の対応等、人事労務の問題は避けては通れぬ部分もあり、そういった問題があった場合に必要となる書類です。

 

  • 試用期間中の従業員に対する解雇予告通知書
  • 有期雇用の従業員に対する雇止めの通知書
  • 従業員に対する出勤停止処分の通知書
  • 従業員に対する戒告処分の通知書
  • やむを得ない事由による解雇予告通知書
  • 無断欠勤を理由とする解雇通知書
  • 就業規則違反を理由とする解雇通知書
  • 社宅の明け渡し請求

解雇予告について、労働基準法・第20条では「少なくとも30日前までに予告をしなければならない」と規定しています。また、その予告をしない使用者は30日分以上の平均賃金を労働者へ支払わなければなりません。
この場合、「いつ解雇通知を労働者に対して行ったのか」が後日の論点となる可能性があります。もし規定の30日に不足する場合は、その不足日数分の解雇手当金を支払います。後日の証拠のためにも日付を明確にし、これを書面に残します。

労働問題に関する書類

解雇予告金の未払いなど法律に定められた支払いを雇用主が行わない場合に、被用者側から作成する書類です。

 

  • 会社に対する解雇予告手当の請求
  • 会社に対する未払手当の支払い請求
  • 会社に対する未払退職金の支払い請求
  • 会社に対する未払賃金の支払い請求
  • 会社に対する解雇予告手当及び未払賃金の支払い請求

今度は上記の「人事労務に関する書類」でも触れた内容の労働者側から使用者側へ送達する場合の書類です。
使用者側が支払わない賃金等の請求を労働者が行います。実は以前、私も賃金をまともに支払わない事業者の元で働いていたことがあり、そのときは本当に大変な思いをしました。

 

現在の世の中は、傾向としてまともな事業者でなければ生き残れない時代になりました。とはいえ、そういった問題がないかと言えばそうでもありません。権利上、請求権を行使できるものは請求しましょう。私の場合、請求権は時効によりすでに消滅してしまいました。

いかがでしょうか。
日常生活や日々の業務の中で、いくつか身近な問題の書類を例に挙げました。もしかしたら自分にも思い当たりそうな書類がいくつかあったかと思います。

 

「こんなときに相手方に請求できたのか」
「こんなときこの書類を出しておけば良かった」

 

人により思うところは様々あるかも知れません。

 

今や各種書類はインターネットで検索すれば簡単に書類形式を見つけることができます。書類だけなら簡単に作成し、自分で相手方に送ることもできます。しかし個人が作成した書類と専門家が作成した書類を比べると、専門家により作成された法的書類の方が、より相手方に対して大きな説得力と心理的圧迫を与え、強い決意と意思表示を明確に伝えることができます。

 

行政書士は、内容に法的紛議が生ずることがほぼ不可避である場合は依頼を受任できませんし、代理人として相手方と交渉することもできません。あくまでも書類による依頼人のサポートです。しかし、身近な問題で書面による解決を目指すのであれば必ずお力になれますので、内容証明郵便をぜひご検討くださいませ。

 

 

作成書類のご紹介は以上です。

 

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