道路施行(施工)承認の申請
いわゆる承認工事、自費工事と呼ばれるもので、私人などが道路に関する工事や維持を計画する場合に道路管理者の承認を得て行います。歩道の縁石の切下げ、側溝の整備、車両の出入りに関する工事などが多いです。
道路法・第24条(道路管理者以外の者が行う工事)
道路管理者以外の者は、第12条、第13条第3項、第17条第4項若しくは第6項から第8項まで、第19条から第22条の2まで、第48条の22第1項の規定による場合のほか、道路に関する設計及び実施計画について道路管理者の承認を受けて道路に関する工事又は道路の維持を行うことができる。ただし、道路の維持で政令で定める軽易なものについては、道路管理者の承認を受けることを要しない。
承認工事申請が必要な場合
新築住宅を建築する場合に、よく必要になる承認工事を挙げてみました。
- 歩道縁石の切下げ
- ガードレールの撤去
- 側溝蓋の交換
- 雨水用側溝やカルバートの整備
- 街路樹の移設
駐車場の位置でご相談を頂くケースが多いのですが、その現場の状況次第で縁石の切下げやガードレールの撤去ができない可能性もあります。
計画が決まった後にそれが発覚すると大きな支障が出ます。最悪の場合そこに住む人が、ものすごく使いづらい駐車場を備えた住居で生活しなければなりません。建築計画前に施工可能範囲を確認することを強くお薦めします。
歩道の縁石やガードレールなどは歩行者のために交通上の安全を担保するものですから、私人の事情で勝手に変更できるものではありません。縁石切下げなら範囲は何メートルまで、というように自治体でルールを決めています。周囲の交通の状況も鑑み、現地を役所の担当が確認するなどし、協議の上で決めていくことになります。
なお、原則〇メートルの場合でも、現地の交通車両が多い、植栽があり見通しの確保が困難、前面道路の幅員が広いなどといった要素を挙げて、安全性の見地から協議を進めていけば申請者の主張が認められる場合もあります。
実際、窓口では難しいと言われましたが、現地を見てもらった後に計画が通った事例もあります。
道路管理者以外にも申請が必要な場合
承認工事は道路管理者に対して行いますが、車道や歩道にはそれ以外にも様々な設置物がありますので建築計画や事業計画の際には見落とさないようにしましょう。家が建った後では間に合わないものもあります。よく街で見掛けるものを以下に挙げます。なお、自治体によっては移設する業者も指定されている場合があります。
- 電柱の位置・・電力会社、通信会社
- 街路樹植栽の位置・・市町村の緑化担当課
- 道路交通標識・・警察署
- 道路ミラー・・市町村の交通安全担当課
- 保健所等の各種案内標識・・各種施設
開発行為許可申請と施行承認の関係
開発行為の許可申請時に施行承認の承認書を添付する場合があります。開発行為は多くの場合、接道する既存道路に工事が必要となります。新設開発道路と既存道路との取り合い部分や、上下水管やガス管の取り出し、舗装の復旧工事などです。
通常、そのような道路課との協議は事前協議の中で行うのですが、その中で施行承認まで取得する必要があるのかが市町村により異なります。例えば、施行承認申請で承認書を取得していなくても、事前協議自体は完了してしまう市町村があります。
事前協議が完了したので本申請を行いますが、開発担当課が施行承認書の添付までを求めている場合、不足書類があるとして開発行為許可が申請できない場合もあります。こうなると、急いで施行承認を申請し承認を取得しなければなりませんが、標準処理期間で1〜2週間かかってしまいます。
特に接道する道路が都道府県道の場合は、申請が市町村ではなく都道府県となりますので注意が必要です。
【このページのまとめ】
- 道路を工事する場合は承認が必要
- 承認は道路管理者へ申請する
- 縁石の切下げは制限がある
- ガードレールも撤去可能範囲がある
- 建築計画の前に確認する
- 道路管理者以外への申請は忘れがちなので注意
- 開発行為許可申請と施行承認の関係に注意
施行(施工)承認の申請の説明は以上です。