内容証明郵便の作成

内容証明郵便とは
内容証明業務
誰が、いつ、どんな内容の郵便を、誰に対して送ったかを証明してくれる特殊な郵便です。
大事な内容の文書を一般郵便で送っても「送った」「送ってない」の問題が発生する可能性がないとは言えません。内容証明郵便は確実にこの内容を送ったという事実を郵便局が証明してくれるものですから、そのような事態を避けることができます。
確実な送達の記録といった主旨では、郵便書留でも問題ないのでは?とも思います。しかし郵便書留では郵便物の内容についての証明とはなりません。一方、内容証明郵便は後々訴訟になった場合の強力な証拠となります。

どんなときに内容証明郵便を使うか
内容証明業務
もし自分が内容証明による文書を受け取ったときのことを想像すると、誰もが心中穏やかにはいられないと思います。このように内容証明書には心理的圧迫の効果があり、事実上、相手方に何らかの行動を促す効果があると言えます。また、通常の郵便ではなく内容証明書を送達することで差出人の固い決意の意思表示を明確にし、停滞していた問題点が解決への糸口となる可能性があります。
さらに前述のように内容証明書の送達それ自体が後々の強力な証拠となり得ます。
こちらの作成書類のご紹介の項目で挙げる書類はあくまで一例ですが、もし相手方へ送りたい書類があるのであれば、内容証明郵便で相手方へ送達すれば、相手方からの何かしら対応を期待できると言えます。

 

 

 

内容証明郵便の書き方
内容証明業務

文 書

内容証明文書用に市販されている用紙もありますが、特に指定はありません。
同じ文書が最低3枚必要です。(受取人用1枚・差出人用1枚・郵便局保管用1枚)

封 筒

内容証明文書用に市販されている封筒もありますが、特に指定はありません。
文書に記載された受取人及び差出人と同一の住所氏名が記載された封筒。

文 字

日本語のみ。平仮名・片仮名・漢字・数字・漢数字。
記号に注意しましょう。uなどは2文字で扱います。

文字数と行数

縦書き

 

1行20字以内、1枚26行以内

横書き

1行20字以内、1枚26行以内
1行13字以内、1枚40行以内
1行26字以内、1枚20行以内

料 金

文書1枚 (440円)
郵送料  (84円)
書留料  (435円)
配達証明料(320円)
ーーーーーーーーーーーー
合計 1249円

※郵便料金は令和3年現在のものです。
※文書1枚増えるごとに260円が加算されます。
※差出後の配達証明料は440円です。

誰に頼めばいいのか?

内容証明の仕組みや文書の書き方などをご紹介してきましたが、結局自分で内容証明郵便を出すのか、それとも誰かに頼んで出してもらうのか、その場合は誰に頼めばいいのか。それこそ費用の面を考えるなら自分で文書を作成し、郵便局へ行き手続きをするのが1番でしょう。

 

もちろん内容証明郵便の心理的なプレッシャーは相当なものですから、それだけで事態が好転することもあるでしょう。しかし自分の名前で出しても素直に応じてくれそうもないという相手方へ送達するのであれば、法知識のある専門家による書面の作成、さらにその氏名が記載された文面を送達することも選択肢の1つです。

 

何か問題が起きたとき電話1本、もしくは普通の手紙1通で済めば、それに越したことはないはずです。しかし、わざわざ内容証明郵便を出そうと思うからには、そうしなければならない理由があるはずです。

  • 一般の郵便では相手方が見ない可能性がある
  • 内容がしっかり届いたのか確認したい
  • 債務の履行を強く促したい
  • 後日の証拠を残したい

理由は様々ですが、内容証明郵便でなければならない強い決意があるはずです。
そんな強い決意の表れである内容証明郵便を誰に頼めばいいのでしょう。
私は行政書士ですので、ぜひ行政書士にと言いたいところですが、他の法律により制限されている業務は扱うことができません(行政書士法第1条の2・第2項)。

 

他の法律により制限されている業務とは次のようなものです。

弁護士法・第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)


弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくはその他の法律事務を取り扱い、又はこれらの同旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りではない。

 

代表的なものが弁護士法第72条で、いわゆる非弁行為と呼ばれる違法行為です。行政書士は訴訟問題を扱うことはできませんので、法的紛議が生ずることがほぼ不可避である場合はその依頼を受任できません。内容証明郵便を送達後の相手方との直接の対応や交渉もできません。このように裁判上の手続きを前提とした問題は弁護士の職務となります。逆に弁護士も、他の法律による制限がある場合はその業務を受任できません。

 

内容証明郵便を扱う専門家

どんな問題が発生したときに、どの専門家に頼めばいいでしょうか?
専門家にはそれぞれ専門分野がありその範囲内で受任し業務を遂行します。お医者さんで例えると、風邪をひいたときに内科、ケガをしたときに外科や整形外科というように、それぞれに専門性を保ちその病人やけが人の治療にあたるのと同じイメージです。

 

行政書士

  • 日常生活や業務において身近な法律問題が発生したとき
  • 裁判は考えず書面による解決を目指したいとき
  • 内容証明郵便により相手方の様子を見たいとき
  • 費用をそこまで掛けずに依頼をしたいとき

司法書士(認定)

  • 不動産登記や商業登記の問題も併せて相談したいとき
  • 簡易裁判所の訴訟範囲内である140万円以下の請求となる訴訟を見越しているとき
  • 示談や交渉など相手の反応に応じた対応を取ってもらいたいとき
  • 代理人として窓口をお願いしたいとき

弁護士

  • 裁判を視野に入れた内容証明郵便を送りたいとき
  • 訴訟請求額が140万円を超えるとき
  • 相手方に強いプレッシャーを与えたいとき
  • 示談や交渉など相手の反応に応じた対応を取ってもらいたいとき
  • 代理人として窓口をお願いしたいとき

いかがでしょうか。自分が内容証明郵便を送る目的や、自分がどこまでを視野に入れているのかで、誰に頼めば良いかが浮かんでくるのではないでしょうか。また、専門家による相談会なども定期的に開催されていますし、それぞれ行政書士会、司法書士会、弁護士会に連絡すれば内容に応じて案内や紹介もしてくれます。

 

次のページでは、実際に身の回りで問題が発生したときに、どのような書類を作成できるのかをご紹介していきます。